特別栽培りんごの生産者 福士さんのお話
青森県北津軽郡の津軽平野中央に位置する町、板柳町にてりんご農家をはじめて、今年でなんと55年。りんご栽培の大ベテラン福士忍顕(ふくしのぶあき)さんをご紹介します。
りんご農家をはじめて55年と大ベテランの福士さん。りんご農家を始めた頃、特別栽培に変更した頃の思い出をお伺いしました。
りんご農家を始めた頃の思い出を教えてください
1960~1970年代の頃、板柳町の当地は水田が一番良いとされていたときでした。そんなときに、私は水田に盛り土をしてりんご園に改植しました。まわりでは、福士は気が変になったのではと噂されていたほどです。懐かしい思い出です。
当初、りんご栽培は慣行栽培からはじめたそうですね
当初10年くらい、慣行栽培でりんごを育てていました。当時は他の農家さんも同様に栽培をしていたので、特に気にすることもなく普通にりんご農家をしていた感覚です。
特別栽培に変更したきっかけがあったのでしょうか?
40歳の時に重い病気に罹りました。そのときに、食するものの安全性の重要さを身にしみて感じました。自分が生産する果物も、食べてくれる人に安全安心なものづくりをしたいと、特別栽培に変更しました。
ちなみに胃がんで全切除しましたが、食べるものに気をつけ、家族とともによく働き、よく笑い、現在は元気いっぱいです。
りんご農家をしていて、今まででを振り返って、大変だったこと、大変な作業、うれしいことを教えていただけますか?
今までで一番大変だったのは・・・
1991年9月、台風19号がきて、りんごがすべて落果したことです。ご存じの方も多いかと思いますが、当時この台風で青森のりんごが大打撃を受けたことから、「りんご台風」と呼ばれました。赤く色づいていたりんごはもちろん、小さな実も落ちてしまいました。ですから、1991年はりんごを売ることも、りんごを食べることもできませんでした。
嫌な作業もあります
一部りんご園地周りに「防風林」があり、それを整理するのが一番嫌な作業です。昇降機を使用して伐採をするのですが、今までで2回ほど落下しています。それが一番嫌いな作業です。
好きなこと、うれしいこと
りんご園とか水田の見回りをし、その成長過程を見るのが一番好きです。
真冬にハサミとノコを持って樹の剪定を行い、春は運搬車に米ぬかを原料とした自家製肥料を乗せてスコップで撒き、全員総出で草刈りをし、花が咲いたら摘花します。収穫日を調整するため「ふじ」や「ジョナゴールド」には袋がけをし、9月頃降袋しますが、これも注意を要する作業です。
このように年間を通して毎日のように手入れをしていますので、健やかに成長している様を見るのは、まるで我が子が育っているかのようです。
そして一番うれしいのは、やはりりんごのお客さんが「食べてみて美味しかった」と云われるのが一番です。また頑張って作ろうという気持ちになります。
現在栽培している品種や、おすすめの品種を教えてください
現在栽培している品種は14種類
福士さんが栽培しているりんごは、ふじ、王林、つがる、ぐんま月、トキ、ジョナゴールド、安祈世、シナノスイート、弘前ふじ、他5品種の合計14品種。収穫時期が少しずつ異なる品種を栽培し、剪定や摘花、収穫作業を分散させています。
中でもおすすめの品種はありますか?
どのりんごでもおすすめです(笑)特別栽培認証品で、食べて安全安心。化学肥料不使用なので、りんごの品種それぞれの本当の自然の味が引き出されています。それぞれの味の違いを楽しめると思います。長期貯蔵できるフジ、王林、ぐんま名月、シナノ、ジョナゴールド以外は、収穫後1週間以内にお届けをしたいと思っています。旬を楽しんでくださればうれしいです。
どのようなシーンで食べて欲しいですか?
健康食品ですので、毎日1人1個どうぞ。いろいろな品種を食べ比べながら楽しんで食べて欲しいです。1個のりんごは医者を遠ざけるということわざもあります。コロナ禍で大変な時ですが、りんごの独特の風味を味わいながら元気でお過ごしいただけますよう。